電気自動車がデジモノを動かす!?
いったん涼しくなったと思ったら、また暑くなりましたね……。
乗り物担当の増谷です。
世の中すっかり節電モードが定着していますね。
先日、最高気温を記録した日も電力消費量は前年より大幅に少なかったようです。
これも皆さんの節電努力の賜物かと思います。
今回は、その節電に関連した乗り物のお話。
最近の節電意識の高まりで、何となく日陰者扱いになってしまっている電気自動車(EV)についてです。
次世代のエコカーとして大きな注目を集めていた電気自動車ですが、電力で走行することから節電モードの中では影が薄くなってしまっています。
ただ、元々電気自動車は夜間に充電し、昼間に使用するという使い方がメインとして想定されていたもの。
電気自動車は大容量の蓄電池(リチウムイオン電池)を積んでいますので、電力需要の少ない夜間に充電して、その電力を家庭用などに活用することができれば、ピーク時の電力削減(ピークカット)にも大きな可能性を持っていると言えます。
例えば日産自動車の『リーフ』に搭載されている蓄電池では、一般家庭の2日分に相当する電力をまかなうことができます。
そんなこともあって、電気自動車を製造・販売しているメーカーは相次いで電気自動車の蓄電池から家庭用に電力を供給できるシステムを発表しています。
7月に『i-MiEV』の新たなラインナップを発表したばかりの三菱自動車は、今年度内に家電などに電力を供給できるシステムを今年度内に発売することを合わせて発表しています。
▼7月6日に発表された三菱自動車の『i-MiEV』の新たなグレード「M」(左)と「G」(右)。発表会では、外部給電機能を用いて炊飯器を動かすデモも行われました。
『リーフ』を販売する日産自動車も住宅に電力を供給するシステムを発表。
こちらも今年度内に発売される予定です。
▼日産自動車が発表した『リーフ』から一般住宅への給電システム。『リーフ』に蓄えられた電力で、一般家庭の2日分相当をまかなうことができます。
この機能が使えるようになれば、電力消費に余裕のある夜間に充電した電力を昼間に活用することで、ピーク時の電力消費を抑えることができます。
また、将来的には導入が見込まれているスマートグリッド(「賢い送電網」を意味し、一方的に電力を受け取るだけでなく一般家庭からも電力を送電することができるようになるシステム)と連携し、電力消費のピーク時に多くの電気自動車に蓄電された電力を送電網に送り、地域全体で活用するような仕組みも想定されています。
多くの電気自動車の蓄電池に貯められた電力を活用することで、地域全体のピークカットも実現することが可能なのです。
(電気自動車の普及台数が増えることが必要ですが)
この機能が実現すると、実は火力発電の効率アップにも貢献します。
現状の火力発電所は消費電力に合わせて出力を調整しているので、クルマで言えば頻繁にアクセルのオン・オフを繰り返している状態で、燃費の良くない運転の仕方をしているようなもの。
電力を貯めておけるようになれば、火力発電は効率の良い出力で運転を続け、細かい消費電力の増減には蓄電池からの給電で対応することもできます。
最近、太陽光発電や風力発電が話題になることも多いですが、こうした自然エネルギーの普及にも電気自動車の蓄電池は役立つと言われています。
太陽光発電や風力発電は発電できる時間とできない時間があるのが課題だとされていますが、発電した電力を蓄電池に貯めておけば、こうした課題は解決できます。
電気自動車が普及すれば、各家庭に大容量の蓄電池があるのと同じ状態になりますから、自然エネルギーの普及にも一役買うことが期待されています。
電力を消費するだけだと思われがちな電気自動車ですが、外部に給電する機能に対応することで“大きな蓄電池”としていろんな可能性が広がりそう。
そんな未来を見据えてか、多くの企業が電気自動車向けの製品をリリースしています。
その一例がカロッツェリアが7月に発表した電気自動車向けのカーナビ『サイバーナビ AVIC-ZH09-MEV』。
これは、電気自動車の走行時の空気抵抗や回生ブレーキを考慮して、電力消費量の少ないルートを探索する機能や、周辺の充電ステーション検索する機能などが搭載されています。
▼カロッツェリアの『サイバーナビ AVIC-ZH09-MEV』。充電ステーション検索など電気自動車向けの機能のほかにも「ARスカウターモード」に対応するなどハイスペックなモデルです。価格:24万6750円
節電ムードの中、ちょっと日陰者扱いされていますが、省エネにも大きな可能性を秘めた電気自動車。
将来的には、電気自動車が家電やデジモノを動かす動力源として活用される時代が来そうです。
そんな未来に期待したいと思います。