「What’s UP!」制作の裏話(水電池『NOPOPO』編)
こんにちは。編集部の田中です。
8月25日に発売したデジモノステーション10月号はもうご覧になりましたか。
今回僕は「What's UP!」のコーナーで水電池の『NOPOPO』を取り上げました。
水電池『NOPOPO』 販売元:ナカバヤシ実勢価格:600円(3本セット)
このコーナーは編集者が“ちょっと気になるデジモノ”を取り上げるのですが、
何とこちらの製品は電池に水を注入して、その化学反応を利用して発電するというものなんです!
この『NOPOPO』は最長20年の長期保存が可能で、非常用にとても便利。
さらに注入する液体は水以外に泥水や唾液、し尿、ジュースなどでも発電できるのです。
そこで様々な液体を水電池に入れて、各液体がどれだけ発電するかを実験しました。
実験内容の詳細については本誌をご覧頂ければと思います。
今回のブログでは実験での失敗談、つまり本誌に載せられなかったことを書きたいと思います。
これらの失敗を下地に記事が成り立っているということで。
電池というのは僕らの身の回りにあるものですが、
改めて考えてみると今回の実験をするまでは、そこまで関心を払ったことがありませんでした。
文系出身ということもあり、アンペアやオームなどという単語の響きも高校以来。
一からの勉強となりました。
実験は『NOPOPO』にコーラやウイスキーなど色々な液体を入れて、
それぞれの電池の減り具合を調査するもの。
どの液体がどれだけ発電するのかチェックしました。
ちなみにメーカーさんに聞いたところ、水(H2O)を多く含んでいる方が発電効率が良いとのこと。
炭酸は注入する際に空気が入ってしまうため、あまりおすすめできない。
またアルコール度数の高いものは利用できないとのことでした。
電力の測定方法ですが、当初は電球につなぎ発電し、30分ごとに電圧を測定する予定でした。
電圧の測定にはテスターを使用。
そのため下の写真のようなセットを電池の数だけ作成しました。
これで一度に測定でき、無駄な時間も省ける!
ちなみにこのセットを作るにあたり、部品を地元の家電量販店まで買いに行ったのですが、
結構売ってないものなんですね。
何軒もハシゴした結果、やっとホームセンターで見つけることができました。
部品を揃えたあと半田ごてで導線などの回路を整えていたら、結局夜7時になっていました。
ヤバイ、時間が!
しかしここから本番だ。あとは水電池をセットし、電圧を計測していくだけ。
そう思っていたらこの『NOPOPO』、やはり水電池ということで一筋縄ではいきませんでした。
いざ電池をセットすると電球が点灯しない。
あれ? 何で?
どうしよう……記事が作れないかも。一気に血の気が引いていくのを感じる。
改めてメーカーHPを見ると『NOPOPO』は消費電力の大きな機器には適さないとしっかり記載されていました。
ガーン。何て間抜けなことをしてしまったんだろう。
ちゃんと書いてあるじゃん!
う~ん、たった数Ωがこれだけの差を生むとは。恐るべし自然科学。
懐中電灯でもLEDのものはOKで、フィラメント球のものはNGのようです。
近年の懐中電灯は多くがLEDですが、使用の際は念のため確認をした方が良いですね。
そもそもLEDとフィラメント球で消費電力も結構違うんですね。
物理の教員免許を持っている人にも相談したところ、恐らく電球の抵抗が大きすぎるのではないかとのこと。
また『NOPOPO』の電圧が一般の乾電池に比べあまり安定しないのも、
内部で化学変化が起きているためのようです。
あとで調べたところ、この『NOPOPO』は電圧(V)は高くとも、
どうやら電流(A)が一般の乾電池に比べ6分の1程度のよう。
そのため消費電力の大きなものには使えないようでした。
あの電球セットも簡単に見えるけど(実際簡素なものですが)、作るのに苦労したんだけどなぁ。
ここまで失敗して、労力も時間も経費も結構かかっているのに、
ほとんど誌面に反映できてない!
こんなに悔しい「What’s UP!」は初めてです。
ただ焦燥にはかられましたが、失敗のおかげで『NOPOPO』の特長も見えてきました。
『NOPOPO』は非常時の利用には大変有効な製品だということ。
確かに電流(A)が小さいというのは重要なポイントではあるのですが、
長期保存や泥水などでの発電が可能な面など、それを補う長所があります。
気を取り直して、電球セットがダメなら、同社が『NOPOPO』と組み合わせて販売しているLEDライトで調査しました。
各液体を入れた水電池をLEDライトにセットし、何時間点灯するかを計測。
やはり適切な用途であれば問題なく使用できますね。
このあとの実験結果は本誌に載っている通りです。
LEDライトやラジオ、リモコン、時計などの機器で使用すれば活躍してくれます。
しかしあんな電球セットですら、上手くいかなかった時のガッカリ感はかなりのものでした。
それを考えると普段僕らが囲まれている電化製品、
そしてもちろんデジモノステーションに掲載している製品は、
どれだけの技術と汗と涙がつまっているのでしょうか。
普段何気なく使っているものですが、
それらのおかげで僕ら現代人の生活が成り立っていることを今回改めて実感しました。
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