『Lightroom 5パブリックベータ』を試してみた!
どもども、デジカメ担当の加藤です。
このブログでも何度か紹介したRAW現像ソフト『Lightroom 5』のパブリックベータ版が登場しました。「パブリックベータ」とは、正式版をリリースする前にユーザーに試用&フィードバックしてもらうサンプル版のようなものです。最新バージョンとなる『Lightroom 5』の中で、個人的にグッときた機能は以下の3つ。
【1】余計なものをサクッと消せる「スポット修正ブラシ」
【2】水平線がない画像でも正しく水平・垂直に補正してくれる「Uprightテクノロジー」
【3】Instagramチックな写真が作れる「円形フィルター」
それぞれ簡単にチェックしていきましょう。
▲『Lightroom 5 パブリックベータ』の画面。ユーザーインターフェースはこれまでのバージョンとほとんど変わりません。Windows版とMac版があります。
【1】スポット修正ブラシ
もともと『Lightroom』には「スポット修正ツール」という機能がありました。写真に写り込んでしまったセンサー上のゴミといった不要物を簡単に消せるので僕も重宝していましたが、「小さなものを消す」場合に限られるんですよね……。風景写真に写り込んだ人工物や、記念写真に写り込んでいる見知らぬおじさんなどを消したい時だと、この「スポット修正ツール」で消すのはかなり難儀です。
そんな問題を解決してくれるのが「スポット修正ブラシ」です。使い方は非常に簡単で、「スポット修正ブラシ」で余計なものを塗りつぶすだけ。すると『Lightroom 5 パブリックベータ』が適切な背景で自動的に塗りつぶし、最初からなかったことにしてくれるのです。感心するくらいきれいに消してくれますのでぜひお試しください。
▲従来の『Lightroom』に搭載されていた「スポット修正ツール」は円形だったので、この形に収まるものしか消せませんでした。小さい円形をいくつも作って、複雑な形のものを消すことも可能ですが、面倒くさいですよね……。
▲「スポット修正ブラシ」で、消したいものを白く塗りつぶします。ブラシサイズ、不透明度も細かく設定できます。
▲ほんの数秒で、適切な背景で塗りつぶしてくれます。複雑な形であってもひと塗りで消せるので作業効率もはかどります。
【2】Uprightテクノロジー
一言で説明するならば、傾きや歪みをワンクリックで補正してくれる機能です。これまでの『Lightroom』では、「傾き補正ツール」で垂直線や水平線を指定することで傾きを直していました。マウスで直線を一本引くだけで、そこを基準に水平あるいは垂直に補正するのですが、ついに『Lightroom 5 パブリックベータ』ではワンクリックで補正できるようになりました! しかも、画像に水平線や垂直線が見当たらない写真も補正するから驚きです。
さらに「Uprightテクノロジー」のすばらしいところは、「レンズ補正」に対応していない写真に対しても有効な点です(「レンズ補正」については3月29日のブログ記事をご覧ください)。
▲従来の『Lightroom』では「角度補正ツール」で垂直線あるいは水平線をドラッグして引き(赤枠部分)、そこを基準に写真の傾きを補正していました。
▲「Uprightテクノロジー」を利用すれば、もっと簡単に解決できます。「レンズ補正」パネルの「基本」タブにある「自動」ボタンをクリックするだけです。
▲ちょっとわかりづらいかもしれませんが、オリジナルの画像では少し傾いていた電柱や工場の煙突が真っ直ぐに補正されています。
【3】円形フィルター
FacebookやTwitterなどSNSにInstagram風の写真を投稿・共有する機会が多い人には、「円形フィルター」がおすすめ。Instagramとは、スマートフォンおよびタブレット向けのアプリで、画像に対してエフェクトをかけることで手軽に“いい感じ”の写真を作れます。『Lightroom 5 パブリックベータ』の「円形フィルター」を使えば、Instagramやトイカメラでお馴染みの「トンネル効果」(写真の四隅が暗くなって、トンネルのような形に見えること)を写真に加えられます。これまでも画像の周辺光量を補正する機能はありましたが、あくまで明るさをコントロールできるだけでした。『Lightroom 5 パブリックベータ』ではさらに進化し、色味やノイズ、シャープネスなどもコントロールできるようになり、単なる補正機能ではなく、写真に味わいを加えられるようになりました。
Instagram風に加工するアプリはいくらでも存在しますが、写真の取り込みから現像、SNS向けの加工まで全ての作業を『Lightroom 5 パブリックベータ』で完結できたほうがスマートですよね。地味なアップデートだと思いますが、これまで複数のアプリを使っていた人にはうれしい新機能です。
▲「円形フィルター」を使えば、円の外側から内側に向かってホワイトバランスや明るさ、彩度、ノイズなどの効果を適用できます。被写体を際立たせたい時に重宝します。
このほかにも、プレビュー画像データでとりあえず現像しておき、後からその現像内容をオリジナル画像データに適用できる「スマートプレビュー」機能も注目です。この機能を使えば、ファイルサイズの小さいプレビュー画像データだけをノートパソコンに入れて、出先で現像作業を行なえます。オリジナル画像データは外付HDDや自宅のNASに置いたままでいいんですからすごいですよね。モバイルユーザーには朗報でしょう。さらには、フォトブック作成機能の強化や、動画を含むスライドショー作成機能なども搭載される予定です。
ちなみに『Lightroom 5 パブリックベータ』は6月末まで無料で使えます。気になる方は下記URLから入手してみてください。なお入手時に「Adobe ID」への登録が必要です(登録は無料)。
アドビ『Lightroom 5 パブリックベータ』
http://www.adobe.com/jp/joc/photoshop/pslr/lr5beta/